雷おじさん

Name: あっちっち

Wednesday, November 30, 2005

「ゴトブ」も、こけおどしめいて大群集を色彩豊かに舞台の上に並べたてるが、その一幕の中心となる情景に向って、数百人の人間の動きを統一させ、照明とともにあくまでもテーマに即した感情表現・姿態をさせている。主役の補助、舞台効果の奥ゆきとしてつかっている。これは、オペラ特有の大きく賑やかな舞台の上のゴタゴタを整理して効果がある。「ボリス・ゴドノフ」にしろ、新しい舞台装置とこの群集=合唱団の巧みな扱いかたで、新鮮さを出しているのだ。 ベルリンでスカラ座のカルメンを見たとき、スカラとも云われるものが、あんまり群集をぞんざいに扱っているのにおどろいた。合唱こそしているが群集の男女の気分もバラバラ、眼のつけどころもバラバラ、いかにも、はい、わたしの役割はこうして歌うだけです、という風だった。 歌舞伎の群集は筋の説明の上にだけ役立てられ、所謂「土地の者、数人」がガヤガヤで、群集の力として迫って来るものがない。民衆の運命は計算されていない。 革命によって洗い出されたソヴェトの演劇は、表現の上で、過去の「かたまり合った人間たち・群集」を明瞭に「意志する民衆の集団」に置きかえた。「ゴトブ」のオペラでもバレーでも同じように合唱団=集団の統制を、こういう自主性をもって扱われることだと思っていたのだ。